伊豆の踊子を読んだ。
読んでもあまり良さが分からなくて。
体は大人で、内面は幼子で、男女の機微も分からず、あどけない14-5の舞姫。
彼女を擁する旅芸人一行に、偶然のフリしてバッタリ出会いを重ね、その後ただただ付き従って旅を共にする主人公。
そういう、キモイ話で。
主人公が旅芸人一行に愛されてるのも納得いかないし。
書評を読んだら処女の美しさを描いた作品らしい。
良さを挙げるなら逆に、キモイ男のナルシシズムというか、女性蔑視というか、「少女のような舞姫を性的な目で見ながらストーカーしているのに、旅芸人という職業をめちゃくちゃ見下しているが故、それが恋心に変わることはなく常に劣情でしかない」という嫌な主観がナチュラルに描かれていて。
その幼さ純粋さに癒されていく主人公が本当に気分悪いというか。
情景描写、心理描写が上手いのかもしれない。
それはそれで人の心を動かしたことになるので。
本当に嫌なのは、川端康成がそれをネタとして書いたわけでなく、本気で、「旅芸人は劣等で、女も動物として下の位に置いて見ている」からで。
心からなんか嫌だと思った。
正の側面でも負の側面でも、心からの言葉が人の心を動かすんだろうな。
心から言葉を発する人が、それが人の心を動かす人が、文豪と呼ばれるのかもしれない。
って思って川端康成調べたら。
婚約していためちゃくちゃ好きな子(処女)に振られて、それを拗らせて女性蔑視になってたので、なんか改めて切ない気持ちで読めるなと思いました。