夏目漱石著 こころ を読んでいる。
序盤でひっかかった言葉を抜粋して、思ったことをメモする。
主な登場人物:書生、先生、先生の妻、K
「底の方に沈んだ心を大事にしている。」
場面: 先生の妻が自分の沈んだ感性について議題に挙げず、沈むままにあろうとする様子を見た書生の内心。
メモ:底の方に沈んだ心も、浮ついた心も、誠心誠意自分と向き合った心も、心はそのままで良い。
沈んだ心が引き上げられて共に痛みを連れてくるのを分かっていてもなお、議場に上がらなくて良い。
心を沈んだままに大事にしておくことでも生まれるものがある。と私は思った。
「幸せな一対であるべき」
場面:先生が愛し合う妻との関係を表した一言。
メモ:妻と仲が良いながらも自分も人も信じない先生が、それでも妻を愛しているのが分かる。
一対という言葉の中には、貴賎がなく、お互いにとって無二であることが見てとれる。
「田舎者は都会のものより却って悪い」
場面:書生は田舎の実家の人間が善い人間だと思っている。それは違うと言う先生の一言。
メモ:田舎の人間が却って悪い。一定の範囲で同意だ。
私は、田畑や山に囲まれ、人より鹿や猪、猿の数が多いような田舎で育った。
田舎での大多数は、何か新しい考えに触れて頭をほぐす機会がほとんどない。
外部との接触がほとんどないからだ。
だから、その土地での正しいことは、一般的な正しいことと乖離する。
また、田舎の人間が優しいのは、みんなが同じような価値観を持つ村の中に、別の価値観の人間が入ってくるのにただ慣れていないからである。
どう扱って良いか分からないだけで、都会の人と比べ心が温かいわけではない。そして、冷たいわけでも無い。
でも、一般社会との乖離は決して彼ら自身の責任ではないことを付け加えておく。
たまたまそれをほぐす機会が無かっただけだ。